以下の論文が受理されました。
ご協力いただいた先生方ありがとうございます。
髙尾先生は、光関係で光Cas9の論文も出されております
(Takao et al, PNAS, 2020; https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/11/4/28-75927)。
光技術を使って新しい研究分野をひらいていけることを期待しています!
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id716.html
生体内遺伝子操作の精度は、Cre recombinase (Cre)–loxP 部位特異的 DNA組換え酵素反応の応用により格段に上昇しました。私たちも、同システムを利用することで新しい知見を提供することができており、現在の生命科学分野ではなくてはならない技術です。
操作精度の更なる向上は、新しい概念の提唱につながり、学術体系そのものを大きく転換させることができます。例えば、変異型エストロゲン受容体を融合したCre(Cre-ER)が開発されたことで、生体内遺伝子操作精度に時間軸が付与されました。一方で、CreをN末端断片(CreN)とC末端断片(CreC)に二分割し、それぞれに光応答タンパク質を付与することでCre活性を光操作により制御し、生体内遺伝子操作精度に空間軸を付与する試みもなされています。
2016年に東京大学の佐藤守俊先生は、プロテインエンジニアリングを施した光スイッチタンパク質(nMagとpMag)を利用することで、DNA組み換え効率の極めて高い第二世代の光活性型Cre(Photoactivatable(PA)-Cre)を開発しました(Nature Chem Biol., 2016)。このシステムでは、青色光を照射することで、nMagとpMagの結合に伴い、CreNとCreCも空間的に近接し、CreNとCreCはDNA組み換え活性が回復するというものです。
これを見た私は、久しぶりに論文を読んで感動し、このシステムを搭載したマウスを作製してみたい!と考え、面識はなかったのですが佐藤先生にすぐに電話をして(失礼もうしわけありません)、共同研究のお願いをさせていただきました。
その後、東京医科歯科大学の田中光一先生/平岡優一先生の御協力をいただき、PA-Creシステムと、テトラサイクリン誘導発現系システムのActb locusへの迅速なノックイン技術(Genome biology, 2015)を組み合わせ、in vivoでの青色光/細胞種特異的なDNA組み換え反応を可能とする遺伝子改変マウス(TRE-PA-Creマウス)の作製に成功しました(今回の論文)。
私たちが作製したTRE-PA-Creマウスを利用すれば、「生体組織」で、「細胞種(特定プロモーターでON)特異的」かつ、従来不可能であった「時間・空間(光照射時/部位)特異的」な精度を持つ生体内遺伝子操作が可能です。今回の論文では、あまり実験データは追加できておらず、Community内で有効利用していただけることを期待し、いち早く報告することを優先しました。ぜひ色々な先生方と共同研究できればと考えておりますので、ご興味がありましたらご連絡いただければ幸いです。
Tomoka Takao, Yuichi Hiraoka, Kenji Kawabe, Daisuke Yamada, Lu Ming, Kohichi Tanaka, Moritoshi Sato, Takeshi Takarada (2020) Establishment of a tTA-dependent photoactivatable Cre recombinase knock-in mouse model for optogenetic genome engineering. Biochem. Biophys. Res. Commun. in press.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X2030485X