岡山大学 組織機能修復学分野

道上先生(岡山大学)との共同研究成果が論文化(Kanehira et al, Journal of Translational Medicine, 2025)されました。腫瘍マーカーを利用した新しいBNCT治療戦略の開発

Noriyuki Kanehira, Fuminori Teraishi, Tomoyuki Tajima, Tatsunori Osone, Kazuyoshi Gotoh, Takuya Fujimoto, Yoshinori Sakurai, Natsuko Kondo, Narikazu Nagahisa,2, Kaoru Kamei, Taiga Fujita, Akira Morihara, Yukata Takaguchi, Mizuki Kitamatsu, Takeshi Takarada, Kunitoshi Shigeyasu, Minoru Suzuki, Toshiyoshi Fujiwara, Hiroyuki Michiue. Precision Boron Neutron Capture Therapy (BNCT) for malignancies with high tumor marker CA19-9 levels. Journal of Translational Medicine, 2025, 23, 1387. doi: 10.1186/s12967-025-07349-7.

いつもお世話になっている道上先生との共同研究成果が論文化されました。大曽根さんがBioinformatics解析の点で貢献されました!道上先生、金平先生、おめでとうございます。ありがとうございました!

本研究では、腫瘍マーカーを利用した新しい分子標的型ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)の開発について報告しました。

BNCTは、ホウ素を腫瘍細胞に集積させた後に中性子を照射することで、細胞内で核反応を起こし腫瘍細胞のみを選択的に破壊する放射線治療です。しかし従来のBNCTでは、腫瘍細胞に特異的にホウ素を集積させることが難しいという課題がありました。

本研究では、膵がんや胆道がんなどで高発現する腫瘍マーカー CA19-9 に着目し、この分子を標的としたホウ素化抗体を開発しました。これにより、腫瘍マーカー陽性細胞に対して選択的にホウ素を集積させることが可能となります。

細胞実験および動物モデルを用いた解析の結果、このCA19-9標的ホウ素化抗体は腫瘍組織に高い選択性で集積し、BNCT照射と組み合わせることで強い抗腫瘍効果を示しました。これにより、腫瘍マーカーを利用した “precision BNCT” という新しい分子標的型放射線治療の概念が提示されました。

本研究は、従来のBNCTの課題であった腫瘍選択性を大きく改善する可能性を示したものであり、膵がんなど治療困難ながんに対する新しい治療戦略の開発につながることが期待されます。