Yuki Fujisawa, Tomoka Takao, Daisuke Yamada, Takeshi Takarada (corresponding author). Development of cartilage tissue using a stirred bioreactor and human iPSC-derived limb bud mesenchymal cells. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2023, 687: 149146. doi: 10.1016/j.bbrc.2023.149146.
関節軟骨は自然再生が困難であり、移植治療には大量かつ均一な軟骨細胞の供給が求められています。
本研究では、ヒトiPS細胞から誘導した肢芽間葉系細胞(ExpLBM細胞、ヒト軟骨前駆細胞)を用い、攪拌型バイオリアクターによって大量の軟骨様組織(cartilaginous particles)を作製する技術を開発しました
ExpLBM細胞を用いた回転培養により、14日間の誘導培養後、COL2A1、ACAN、SOX9などの軟骨マーカー遺伝子の発現が著しく上昇し、サフラニンOおよびトルイジンブルーで強陽性を示す透明軟骨様の組織を形成しました。さらに免疫組織染色では、作製された組織がⅡ型コラーゲン(COL2)およびアグリカン(ACAN)陽性を示し、Ⅰ型およびX型コラーゲン陰性であったことから、線維軟骨や肥大軟骨ではなく硝子軟骨型組織であることが確認されました。作製した軟骨粒子を免疫不全ラット膝関節欠損部に移植したところ、移植片は欠損部に良好に生着し、ヒトビメンチン、COL2、ACANで陽性を示しました。これにより、ExpLBM細胞由来軟骨が関節軟骨再生に有用であることが実証されました。
本研究は、ヒトiPS細胞由来軟骨前駆細胞と攪拌培養技術を組み合わせることで、スケールアップ可能な軟骨再生プラットフォームを確立した初の報告であり、将来的な再生医療製品化・産業応用への道を拓く成果です。