Taro Osawa, Daisuke Yamada, Tomoka Takao, Lu Ming, Takeshi Takarada (corresponding author). PRRX1 upregulates PD-L1 in human mesenchymal stem cells. In Vitro Cell Dev Biol Anim, 2024, 60(10):1132-1137. doi: 10.1007/s11626-024-00911-5.
間葉系幹細胞(MSCs)は、移植医療・自己免疫疾患治療などで免疫調節機能を発揮する重要な細胞源です。中でも、PD-L1(プログラム細胞死リガンド1)の発現は T 細胞応答を抑制する主要な機構の一つですが、その発現制御機構は未だ十分に解明されていません。
本研究では、転写因子 PRRX1(paired-related homeobox 1)が MSC における PD-L1 の発現を正に制御することを明らかにしました。複数の PRRX1 アイソフォームを MSC に発現させたところ、MSC マーカー(例:CD26, CD317 など)mRNA レベルの上昇、PD-L1 mRNA 及び細胞表面発現の有意な上昇が認められました(すべての PRRX1 アイソフォームにおいて)。
この成果は、PRRX1 が MSC の 免疫調節性を司る可能性のある分子スイッチ であることを示唆するもので、将来的には MSC を用いた免疫治療の機能最適化や、PD-L1 経路を標的とする治療設計に向けた新たな道を拓くものと期待されます。