岡山大学 組織機能修復学分野

論文(Hanaki et al, IJMS, 2025)が掲載されました!ヒトiPS細胞から“軟骨細胞パーティクル”を効率生産 ― シンプルなセル自己凝集技術による新展開

Hanaki, S., Yamada, D., Takao, T., Iwai, R., and Takarada, T. (2024). Efficient production of chondrocyte particles from human iPSC-derived chondroprogenitors using a plate-based cell self-aggregation technique. Int. J. Mol. Sci. 25, 12063.

関節軟骨は、自己修復能力が乏しく、一度傷つくと長期的な再生が難しい組織です。
私たちは、人iPS細胞由来の肢芽様間葉系細胞(ExpLBM)を出発点とし、プレートベースのセル自己凝集技術(CAT) を活用して、均一サイズの軟骨細胞パーティクル を効率よく作製する手法を確立しました。

この手法では、ExpLBM 細胞を CAT プレート上で自己凝集させ、段階的な分化誘導ステップを経て軟骨細胞パーティクルを形成します。作製されたパーティクルは、コラーゲン II(COL2)やアグリカン(ACAN) といった軟骨マーカーを発現し、過剰な肥大化マーカー(COL10 など)は発現しない 柔軟かつ安定した軟骨表現型を示しました。

さらに、ラットの骨軟骨欠損モデルに移植したところ、パーティクルは良好に定着し、周囲組織との一体化を伴いながら軟骨マトリックスを産生しました。これにより、再生医療への応用可能性も示唆されました。 この研究は、軟骨修復のための細胞源をスケールアップ可能な方法で安定に生産する技術を提供するものです。