岡山大学 組織機能修復学分野

論文(Takao et al, bioRxiv, 2025)が掲載されました!iPS細胞から“手足の骨”を再現 ― 世界初の骨格アセンブロイドの誕生

Takao, T., Osone, T., Sato, K., Yamada, D., Fujisawa, Y., Hagiwara, M., Nakata, E., Ozaki, T., Toguchida, J., and Takarada, T. (2025). Modeling human limb skeletal development using human pluripotent stem cell-derived skeletal assembloids. bioRxiv, 2025.01.09.631479. 10.1101/2025.01.09.631479.(現在、査読付きの国際誌に投稿しています)

ヒトの手足の骨がどのように形づくられるのか――その発生過程を、試験管内で忠実に再現することは長年の夢でした。
宝田研究室ではこのたび、ヒトiPS細胞から**「関節軟骨」「成長軟骨板」**という二つの異なる軟骨組織を作り分け、それらを融合させることで、ヒト肢骨の発生を再現する立体モデルの構築に成功しました。
この新しい3次元モデルを、私たちは 「スケレタル・アセンブロイド(Skeletal Assembloid)」 と名付けました。

スケレタル・アセンブロイドは、ヒトiPS細胞から誘導した**肢芽様間葉系細胞(ExpLBM)**を起点に、

  • GDF5⁺PRG4⁺の関節軟骨前駆細胞(Interzone/Articular Chondrocyte Progenitors; IZ/ACP)
  • SP7⁺の成長板軟骨細胞(Growth Plate Chondrocytes; GPC)
    をそれぞれ分化誘導して作製しました。

この2種類の軟骨オルガノイドを立体的に組み合わせると、中心部では骨化が進行し、両端では関節軟骨が維持されるという、まさにヒト四肢骨のような“縦方向の成長構造”が再現されました。
さらに免疫不全マウスへの移植実験では、**軟骨から骨への変化(軟骨内骨化)**が生じ、長軸方向の骨成長が確認されました。

この成果は、ヒトの骨や関節の発生原理の解明に大きく貢献するだけでなく、骨形成不全や関節疾患の新しい再生医療・創薬モデルとしての応用も期待されます。