岡山大学 組織機能修復学分野

論文(Hanaki et al, bioRxiv, 2025)が掲載されました! ヒトiPS細胞から気道再建に向けたスキャフォールドフリー軟骨移植片を開発

Hanaki, S., Takao, T., Fujisawa, Y., Ota, T., Osone, T., Otake, S., Iwai, R., Deguchi, K., Yamamoto, K., Okuyama, H., and Takarada, T. (2025). Scaffold-free cryopreservable cartilage grafts obtained from hiPSC-derived chondroprogenitor cells for airway reconstruction with growth adaptability. bioRxiv, 2025.06.05.654989. 10.1101/2025.06.05.654989.

先天性気道狭窄などの外科再建では、「呼吸を支える強度」と「成長に合わせた柔軟な拡張性」を両立できる軟骨組織が求められます。
宝田研究室では、ヒトiPS細胞から誘導した軟骨前駆細胞(hCPC)を用い、足場(スキャフォールド)を使わずに自立的に形成される三次元軟骨移植片の作製に成功しました。
この軟骨組織は凍結保存後も高い生存率と構造安定性を維持し、**「成長に追随できる人工軟骨」**として新しい再生医療の道を切り拓きます。

本研究では、独自の培養系により数週間で厚みと強度を備えた軟骨組織を形成。
免疫不全ラットの気管欠損モデルに移植すると、呼吸機能を保持しながら長期にわたって成長し、宿主組織と滑らかに融合することが確認されました。
さらに、凍結保存後に解凍しても移植能を失わないことから、「オフ・ザ・シェルフ型(保存可能な即時使用)」再生医療製品としての実用化が期待されます。